なぜ忘れやすいのか
頭だけで覚えようとすると、せっかく記憶したと思っても、どっと疲れが出たり調子を崩したタイミングで、記憶が飛んでしまう場合がある。
それはなぜなのかというと、頭で覚えたと思った場合は、一時記憶の脳部位を使っているに過ぎないからだ。
PCに例えると、メモリに情報を記憶させているに過ぎないということになる。
メモリは一時的に情報を保持させているだけだから、PCをシャットダウンしたりすると情報がクリアされる。
頭で覚えている状態というのはそんな感じなのだ。
記憶したいことはハードディスクに書き込まなければならない。
ハードディスクであれば、壊れることがない限りは一度書き込んだ情報は勝手に消えるということはない。
忘れ防止策のポイントは体だ
では、人間においてハードディスクに書き込む作業とは、どのような作業となるのだろうか?
それは、体に覚え込ませるということになる。
体に記憶させてしまえば、いちいち頭で思い出さなくても自然と体が動く。
体が覚えたことは、そう簡単には忘れないようになっている。
実を言うと、体が実際に覚えているわけではなく、体の記憶も脳が司っているのだ。
まあ、当然のことなんだけれど。
しかし我々が頭を使ったと思った時に使っている脳とは、場所が違うのだ。
いわゆる考える頭は、大脳皮質であり、体をコントロールしている脳は小脳となる。
「手続き記憶」と呼んだりもする。
習慣化にも大きく関与している。
習慣化する前は、何事も頭であれこれ試行錯誤しながら行うことになるので、作業が安定しないし、疲れたりもする。
しかし、一旦手続き記憶として小脳が学習すると、大脳皮質を休ませながら、思考することなく習慣化された行動を行えてしまう。
では、体に覚えさせるにはどうすればよいのか。
答えは反復である。
何度も繰り返し行うことで、考えずに自然と体が動くようになる。
慣れないうちに頭であれこれ考えながら行動するのは負担がかかるが、慣れてしまえば楽に動けるのは、みなさんが新しい職場に移った時によく感じることだと思う。
そういった意味では、頭だけで理解したのでは、本当の知識は定着していないと言える。
やはり理解したことを実際にやってみることで、大脳皮質だけでなく、もっと中側の古い脳にまで情報が行き届き、やがて忘れない強固な知識となる。
頭でわかった段階で、実際に試さない人は多いと思うが、忘れ防止策のためには手を動かすことも必要なので、ぜひ意識してみて欲しい。
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