常に不幸な心理状態にいた少年時代
私は少年時代、常に心の中は恐怖心でいっぱいだった。
なぜなのかはわからない。
物心ついてからずっと、ビクビクしながら過ごしていて、心が落ち着くことなんてなかったから。
常に心はズーンと、重苦しい鉛のようなものが存在しているかのようだった。
自分の中で何か心配事が発生すると、そのことにずっと頭を悩ませなければいけなかった。
しかし心配事も、いずれ解決されるときも来る。
そうするとつかの間のホッとした時間を過ごすときもあった。
しばらくすると、学校生活の中で、また難題が降り掛かってくる。
そしたらまた、心が重苦しくなってくるのだ。
その時私は不思議にも、この不安で押しつぶされそうな感覚がやってくることに安心感を覚えていたのだ!
「やはり、何か厄介事を抱えていたほうが良い。その方がこの心の重苦しい感触を忘れないで済むから。」
子供ながらに、心が浮かれてしまったときに、底辺の感触を忘れてしまうのを恐れていたのだ。
不幸が落ち着くという、恐ろしい状態だ。
不幸な気持ちの時に、自分の存在を確認できていたのかもしれない。
私は不幸が落ち着く不幸慣れしてしまっていた
しかし、今考えてみると、これは不幸が落ち着く状態、つまり不幸慣れというとても恐ろしい心理状態に陥っていたのだと思う。
心のホメオスタシスが機能してしまい、常に苦しい不幸な気分であることが自分にとって最も落ち着くと感じるようになっていたのだ。
だから、もしかしたら、わざわざ自ら災いを招くようなことも、潜在的にやっていたんだろうと思う。
長い時間どのような心理状態に置かれているかによって、心は定常状態を定めようとする。
人間の体は神経によって恒常性維持機能(ホメオスタシス)が働いている。
なるべく同じ状態を保てるように、神経からその都度ホルモンを出して機能を維持するのだ。
体温は常に一定だし、脈拍も血圧も定常状態という数値がある。
同じように、心の状態に関しても、ホメオスタシスが働いているのだ。
だから、辛く苦しい気分でいることが長ければ、人間の脳はその状態が通常であるといずれ判断してしまい、自然にその心理状況に向かうようにされてしまう。
そうすると、昔の私のように、不幸な出来事を歓迎するようになってしまうし、また自ら不幸に飛び込むようにもなってしまうだろう。
不幸が落ち着くと感じるならば注意
あなたは、常に暗い気持ちでいることに苦しんでいながらも、一方で不幸が落ち着くと薄々ながら感じているタイプではないだろうか?
もしそうであれば、なかなか幸せになっていくことは難しくなる。
なぜならあなたの潜在意識が不幸を居心地が良い落ち着く状態と判定してしまっているからだ。
しかし、そのことを意識できるようになれば、変化するきっかけにはなる。
意識できさえすれば、行動パターンを変える手がかりを掴んだも同然だからだ。
コメント